Esther Inglis-Arkell - Nov 21, 2012 10:30 AM

自由の身になるために自分の手足を切断した人がいることはよく知られている。話としてはこれでじゅうぶん怖い。でも、自分を手術しなければならなかった人についてはどうか?自身に苦痛を与えつつ、同時に冷静な頭で手術を施さなければならないのだ。実際にこういう人がいるから恐ろしい。理由は様々だが、自分自身を手術した8人の人たちを見てみよう。
人はときに困難にぶつかり、不屈の精神と勇気で立ち向かわなければならないことがあるだろう。しかし一方で次のような揺ぎない主張がなされることもある。
「ノー・サンキュー、死なせてくれ」
セルフ手術をするなら死んだほうがマシな気がする。もがき苦しむほどの激痛を自分に与え、なおかつ熟練した手つきで精密に自分を切り刻まなければならない。それもかなりの長丁場だ。このような恐ろしい状況の中でそれをやってのけた人々がいる。そんな人たちのほんの一部を紹介する。
YouTubeで頭部手術
ドウェイン・ウィリアムズには健康保険も手術のための貯金もなかった。事故で頭に腫瘍ができて鉄橋のケーブルのように神経が見えている。彼は頭部をダンボール用のカッターで切り取るだけでは気が済まず、録画してYouTubeに流した。手術はほんの数分で終わったが完治するのに数週間かかった。ドウェインは「ハッピーな結果に終わった」とレポートしている。YouTubeのコメンターたちも喜びを分かち合った。でもほんとうにそれでよかったの?
自分で自分のネジを外す

「それをやめろ。いや、オレは"それ"がなんなのか知りたくない」「上司や母親、異性のパートナーにメールするのはやめておけ」「裸で川に飛び込むな」「ebayの入札ボタンをクリックしてはいけない」「足首に埋まったネジを外そうとするな」
悲しいことにアドバイスを書くのが少し遅かったようだ。22歳のこの男は酔っ払って外出し足に怪我をした(同じ目に会ったことがあるって?)。治療を受け彼の足は6本のネジと金属プレートで固定された。やがて彼はこれらの物体のせいで痛みを感じていることに気づき、削除すべき事柄としてウェイティングリストに載せた。ある夜、彼はついに決心した。ウェイティングリストを地獄に追いやり、ショットグラスを5つ用意し、出産する妻をもつ古き時代の開拓者さながらにお湯を沸かし始めた。彼はポケットナイフと六角レンチ(これはIKEAのネジ回し基本セットの一部だ)と注射針を消毒した。そして、以前手術したときに残った傷を目印に足首をスライスして、切り開いた。6本埋まったネジのうち5本を取り除いた。でも最後の1本は抜くことができなかった。彼はしぶしぶウェイティングリストを復活させることにして、自分を縫いはじめた。
セルフ去勢
「70年代後半はイケてる」という風潮が一部にあるがそれは幻想だ。少なくとも一人の人間については確実にそう言える。ある日のこと、22歳の男が病院によろめきながら入ってきた。手にはその病院の患者の手術のために書かれた腹部外傷についての手書きのインストラクション・シートを持っている。彼は座らずに、シートになにか書き足している。ああ、どうやらこのシートは彼のためのものだ。彼は自分のお腹の中を調べて副腎を整形しようと計画を立てたのであった。8時間におよぶセルフ手術のあとはやはり疲れた様子だった。そして自分の肝臓を引っぱり出すのは予想以上に痛いということがわかり、途方に暮れていた。なぜ彼は自分でひっぱり出せると考えたのか?それは以前にもセルフ手術をして、しかも成功しているからだ。彼は自分の性欲のファンではなかったので、そのことについていつか処置を施そうと決意していた。2つの病院から「睾丸摘出手術」を拒否されると、彼はリドカインを用いてその部分を麻痺させ、8時間にわたって作業を続けた。それから傷口に包帯を巻いて近くの病院に縫合してもらいにいった。
頭部穿孔(トレパネーション)

このタイプの手術をした人たちはあまりにたくさんいるので、一人だけ取りあげるのはほんとうはフェアではない。頭部穿孔はもっとも古い手術のひとつだが、通常は命に関わる病状でない限りは使われない。頭部穿孔の魅力をいちばんよく知っているのはおそらくアマンダ・フィールディングだろう。彼女は1970年代にいい加減うんざりしており、鉄分ダイエットは味気ないしビタミンのサプリメントはヒッピー向けだとの判決を下した。27歳の時だった。友達が最近になって頭部に手術を受けたと知ったとたん、彼女は髪の毛をカットして、目に血が入らないようにゴーグルを装着し、歯医者が使うドリルで頭に穴を開けた。それからというもの彼女は議会に駆け込み、頭部穿孔がいかに魅力的であるか壇上で演説をし、頭部穿孔の利点について証明する研究機関の設立と運営にあたった。
銃弾をえぐり出す
デボラ・サンプソンは7月4日にすべてのアメリカ人(イギリス人も、たぶんね、悪口を言いつつ)が感謝を捧げるべき人物のひとりだ。彼女はマサチューセッツ州の大陸軍に仕えて戦っていた。女性が1700年代に前線で戦っていたなんて聞くと、マサチューセッツのリベラルさに驚く向きがあるかもしれない。しかし勘のいい読者ならなぜデボラがなぜ自分で手術をしなければならなかったのか気づくだろう。彼女は太腿を撃たれたが、ドクターに女であることがばれて危険な戦地から追い出されるのをおそれた。彼女は病院から抜け出し、女であることに中指を立てるまでもなく、ペンナイフで銃弾をえぐり出して戦場へ舞い戻っていった。だが不幸にもまたもや傷を負ってしまった。彼女なら巨大なクマでも恐れをなして許しを乞うくらいの勢いで、尖った木の切れ端かなにかで自分の傷を治してしまったことだろう。しかしこんどは有能な医者が彼女を見つけ、悲劇的な事件として扱った。ドクターは彼女を治療しただけでなく、重症の「女性」であると診断、彼女は家に送り届けられた。正体がばれてしまったが軍人恩給はきちんと支給された。
腎臓結石の除去
この話もとうとう水着で隠しているエリアの話題から抜けだしたか、と思ったら大間違いだ。次に話すのは1600年代にヨハネス・レテウスが行った世にも恐ろしいセルフ手術。不幸なことに彼にはニワトリの卵サイズの腎臓結石があったが、それは伝統的な方法で取り出されたのではない。極度の苦痛ののちに彼は弟にナイフを手渡し慎重に会陰をスライスしてもらった(注意:googleで”会陰”と検索しないように。絶対にだ)。2本の指を突っ込んで切り口から石を取り出した。そして地元の医者に来てもらい、おそらく泣きながら、縫合してもらった。
局部麻酔で盲腸を摘出
病院で外科医のチーフでいるメリット、それは自分の雇ったスタッフがなんでも言うことをきいてくれることにある。彼らは急患が出ない限りはオフィスに乱入してくることもないだろう。つまり、これがチーフ外科医であると同時に患者でもあることの利点である。エヴァン・オニール・ケインは盲腸摘出のようなさほど重要でない手術に対しても、世間はきちんと意識を向けるべきだと考えた。この手術では局部の痛みを和らげるくらいしかやることがない。なので彼は自分に局部麻酔を注射して、盲腸を掘り出すべく腹を割いた。一番の問題は切開するときになかなか自分の腹部を見ることができないということだった。これに対してはふつうの患者よりもたくさん転がりまわることによって解決した。手術を受けるときには「安静にしてくださいね」と言われるが、この理由がわかりはじめた。というのも腹の中から腸がもぐら叩きゲームのあの動物のようにひょっこり飛び出していたからだ。ドクターは腸を元の場所に戻して手術を続けた。経過は順調だったので、十年後、こんどはヘルニアの手術を自分に施すことにした。
セルフ帝王切開

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訳註
元記事)
Eight people who survived by performing surgery on themselves
http://io9.com/5962062/eight-people-who-survived-by-performing-surgery-on-themselves
人名)
ドウェイン・ウィリアムズ - Dwain Williams
YouTubeの該当の動画は削除されていました。
アマンダ・フィールディング - Amanda Feilding
手術の映像記録や彼女をモデルにした映画が残ってるそうです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Amanda_Feilding
Deborah Sampson - デボラ・サンプソン
独立戦争で活躍したジャンヌ・ダルクのような英雄。
http://en.wikipedia.org/wiki/Deborah_Sampson
ヨハネス・レセウス - Johannes Lethaeus
エヴァン・オニール・ケイン - Evan O'Neill Kane
イネス・ラミレス・ペレス - Ines Ramirez Perez
ワード)
リドカイン
広く使われている麻酔剤。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%89%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%B3
頭部穿孔、トレパネーション ※閲覧注意
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E9%83%A8%E7%A9%BF%E5%AD%94
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